「支援委託料」の中に書類作成代金が入っていませんか?改正行政書士法(令和7年法律第65号)で明確化された登録支援機関の「やってはいけない」業務を条文から徹底解説

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令和8年(2026年)1月1日、改正行政書士法(令和7年法律第65号)が施行されました。この改正により、行政書士や行政書士法人でない者が報酬を得て行う書類作成業務に対する規制は、これまでとは比較にならないほど明確な根拠をもって取り締まられる体制が整いました。

とりわけ見逃せないのが、特定技能外国人の受け入れに関わる「登録支援機関」との関係です。東京都をはじめ首都圏では建設業を中心に特定技能の活用が広がっていますが、支援委託の現場では「支援料の中に書類作成費が含まれていた」「登録支援機関のスタッフが在留申請書類を作成していた」といった実態が、今まさに法令上の重大なリスクとして問われています。

本記事では、改正法の条文を正確に読み解きながら、登録支援機関が適法に行える支援業務の範囲と、資格なしでは絶対に行えない行為の境界線を、一次情報に基づいて丁寧に解説します。

なお、本記事は一般的な情報提供を目的とした法令解説です。個別の業務が適法かどうかの判断は、必ず専門家にご確認ください。


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1. 改正行政書士法(令和7年法律第65号)が施行された背景
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今回の改正がなぜ必要になったのか、その背景を理解することは実務上きわめて重要です。

日本行政書士会連合会の公式見解によれば、改正の直接のきっかけのひとつは、コロナ禍において行政書士や行政書士法人でない者が給付金等の代理申請を行い、多額の報酬を受け取っていた事例が各地で散見されたことにあります。当時は「手数料」「コンサルタント料」「会費」「商品代金」など様々な名目が使われたため、既存の条文では「対価に当たるかどうか」の判断が難しく、取り締まりに限界がありました。

在留資格の分野でも同様の構造は存在していました。登録支援機関が「支援委託費」の中に在留資格申請書類の作成費用を事実上含める、あるいは「サポート料」「手続き補助料」などの名目で書類作成の対価を受け取るといったグレーゾーンの実務が横行していたとされています。

こうした状況を踏まえ、令和7年通常国会に議員立法として提出された今回の改正は、令和7年5月30日に衆議院、同年6月6日に参議院でそれぞれ可決・成立し、同年6月13日に公布されました。そして令和8年(2026年)1月1日、施行されています。

出典:日本行政書士会連合会「行政書士法の一部を改正する法律の成立について」(令和7年6月6日)
https://www.gyosei.or.jp/news/20250606
出典:総務省「総行行第281号 行政書士法の一部を改正する法律の公布について(通知)」令和7年6月13日
https://www.soumu.go.jp/main_content/001014708.pdf


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2. 改正後の行政書士法第19条第1項 条文の正確な読み方
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改正の核心は、行政書士法第19条第1項の条文に加えられた新しい文言にあります。

改正前の第19条第1項は、行政書士や行政書士法人でない者が「業として」書類作成を行うことを禁じる規定でした。しかし「業として」の要件(継続性・反復性)や「報酬」の概念があいまいであったため、一度限りの代行や名目を変えた報酬の授受が規制の網をくぐることがありました。

改正後の第19条第1項は次のとおりです。

「行政書士又は行政書士法人でない者は、他人の依頼を受けいかなる名目によるかを問わず報酬を得て、業として第一条の三に規定する業務を行うことができない。」

(出典:総務省「総行行第281号」別添 改正後の行政書士法 令和7年法律第65号)

この改正で加わった重要な文言が「いかなる名目によるかを問わず」という部分です。総務省の通知および日本行政書士会連合会の会長談話では、この改正について次のように説明されています。

「会費」「手数料」「コンサルタント料」「商品代金」等のどのような名目であっても、対価を受領して官公署に提出する書類を作成することは、改正法施行前であっても同条に違反することを明確化したものであり、施行後はさらにその趣旨が条文上に明記される。

出典:日本行政書士会連合会「行政書士法第19条第1項及び第23条の3の改正の趣旨等について」(令和7年11月)
https://www.gyosei.or.jp/news/20251101
出典:総務省「行政書士制度」業務の制限の項目
https://www.soumu.go.jp/main_sosiki/jichi_gyousei/gyouseishoshi/index.html


2-1. 登録支援機関の実務で「名目を問わず」が意味すること

この改正が登録支援機関の実務に直結するのは、次のような場面です。

■ 支援委託費の一括請求に書類作成が含まれているケース
  月々の支援委託費の中に、在留資格の申請書類作成の労務対価が実質的に含まれている場合、「支援料」という名目であっても行政書士法第19条第1項違反となります。

■「コンサルティング料」名目での書類関与
  在留資格の手続きについてアドバイスをしながら、実際に申請書類を完成させているケース。「コンサルタント料」という名目も、改正法のもとでは「いかなる名目」として禁止の対象になります。

■「手続き補助」「書類確認」として報酬を受け取るケース
  書類の「確認」や「チェック」という形式をとりつつ、実質的に書類を完成させている場合も同様です。条文は名目ではなく「実質」を問います。

出典:行政書士法 第19条第1項(令和7年法律第65号による改正後)


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3. 登録支援機関が「必ず行わなければならない」10項目の支援義務
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登録支援機関の義務と禁止事項を混同しないために、まず法令上の支援義務を正確に整理しておきます。

登録支援機関は、出入国管理及び難民認定法(以下「入管法」)第19条の22に基づき、特定技能所属機関(受入れ機関)から委託を受けて、1号特定技能外国人支援計画の全部または一部を実施する機関として、出入国在留管理庁長官の登録を受けた機関です。

支援計画に定める支援項目は、入管法施行規則第17条の7に規定されており、以下の10項目が義務とされています。

出典:出入国在留管理及び難民認定法 第19条の20第1項、第19条の24第1項、同法施行規則第17条の7
出典:出入国在留管理庁「1号特定技能外国人支援・登録支援機関について」
https://www.moj.go.jp/isa/policies/ssw/supportssw.html


3-1. 10項目の支援義務一覧

1番 事前ガイダンス
入国前に、雇用契約の内容・労働条件・日本の生活ルールや手続き等を、外国人が十分理解できる言語で説明する義務です。相手が内容を理解したことを確認できる方法で実施しなければなりません。

2番 出入国時の送迎
上陸時(入国直後)および出国時に、空港と事業所または住居の間の送迎を行う義務です。

3番 住居確保・生活契約支援
適切な住居の確保を支援するとともに、銀行口座・携帯電話・電気・ガス等の各種契約手続きに同行または補助する義務です。

4番 生活オリエンテーション
ゴミ出しのルール・公共交通の使い方・防災情報・医療機関の受け方など、日常生活に必要な情報を外国人が理解できる言語で提供する義務です。

5番 公的手続きへの同行
住民登録・国民健康保険・年金・税務署等の手続きに同行し、必要な補助を行う義務です。

6番 日本語学習支援
日本語学習の機会を提供または紹介する義務です。日本語教室の案内、学習教材の提供等が含まれます。

7番 相談・苦情への対応
職場および私生活上の相談・苦情を、外国人が理解できる言語で受け付け、適切な機関への相談を案内する義務です。相談対応できる体制(週3日以上、かつ土日いずれか1日以上)が求められます。

8番 日本人との交流促進
地域行事・自治会・ボランティア等の情報提供を行い、日本社会との交流を促進する義務です。

9番 転職支援(雇用契約解除時)
受入れ機関との雇用契約が解除される場合に、新たな就労先を探す支援を行う義務です。ハローワーク等への同行も含まれます。

10番 定期面談・出入国在留管理庁への報告
外国人および受入れ機関の責任者と、3か月に1回以上の定期面談を実施し、その内容を地方出入国在留管理局に四半期ごとに報告する義務です。

重要な確認点:上記10項目の義務はすべて「生活支援」に関する業務です。在留資格の申請書類を作成する業務は、この10項目のいずれにも含まれていません。この点が次章の行政書士法との関係において最も核心的な部分です。


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4. 「申請取次」と「書類作成」は全く異なる行為である
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実務上で特に混同されやすいのが、「申請取次」と「書類作成」の区別です。この2つは法律上、まったく別の行為です。

4-1. 申請取次とは何か

入管法施行規則第6条の2に基づき、一定の機関に所属する者が所定の研修を修了し、地方出入国在留管理局長の承認を得た場合、当該機関に所属する外国人や扶養家族等に係る在留資格の申請を、本人に代わって窓口に提出することができます(申請取次)。

登録支援機関の職員が一定の要件を満たして申請取次の承認を受けた場合、委託を受けた特定技能外国人に関する申請書類を窓口に提出することは、入管法の規定に基づく適法な行為です。

出典:出入国管理及び難民認定法施行規則 第6条の2
出典:出入国在留管理庁「申請等取次制度について」
https://www.moj.go.jp/isa/applications/guide/shinsei_toritsugi.html

4-2. 書類作成とは何か、そして何が禁じられているのか

一方、申請書類を「作成する」行為は、行政書士法第1条の3第1項に定める行政書士の業務です。行政書士は、他人の依頼を受け報酬を得て、官公署に提出する書類(電磁的記録を含む)を作成することを業とします。

行政書士や行政書士法人でない者がこれを行うことは、改正後の第19条第1項によって「いかなる名目によるかを問わず報酬を得て」禁じられています。

したがって、登録支援機関の職員が申請取次の承認を持っていたとしても、それは「書類を窓口に運ぶ権限」であり、「報酬を得て書類を作成する権限」ではありません。申請取次の承認を持つことで書類作成が適法になるわけではない点を、受入れ機関側もしっかり理解しておく必要があります。

出典:行政書士法 第1条の3第1項(業務の規定)、第19条第1項(改正後)


4-3. 申請書類の作成と取次の適法な分業フロー

法令に沿った適正な分業は、次のような流れになります。

(書類作成フェーズ)
 行政書士有資格者が、外国人本人および受入れ機関から聴取した内容をもとに在留資格の申請書類を作成します。この段階では、行政書士としての業務として報酬を受け取ることが適法です。

(取次フェーズ)
 完成した書類を、申請取次の承認を得た者(行政書士本人、または取次承認を受けた受入れ機関の職員・登録支援機関の職員等)が窓口に提出します。

この2段階を分けることで、行政書士法と入管法の双方の要件を同時に満たすことができます。


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5. 両罰規定の整備 受入れ企業にも刑事罰が及ぶ可能性
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今回の改正でもう一点、受入れ企業が強く認識すべきなのが「両罰規定の整備」(行政書士法第23条の3)です。

改正前の両罰規定は、帳簿の備え付けや依頼への応答義務など、一部の義務違反にのみ適用されていました。今回の改正により、業務制限違反(第19条第1項違反)および名称使用制限違反(第19条の2違反)にも両罰規定が拡大されました。

具体的には、次のとおりです。

■ 違反行為者(従業員等)への罰則
 行政書士法第21条の2により、1年以下の拘禁刑または100万円以下の罰金

■ 所属法人・個人事業主(受入れ企業・登録支援機関等)への罰則
 行政書士法第23条の3により、100万円以下の罰金

つまり、委託先の登録支援機関のスタッフが「書類作成の実務を報酬を得て行っていた」という事実があれば、そのスタッフ本人だけでなく、登録支援機関という法人に対しても刑事罰が及ぶ可能性があります。

さらに、受入れ企業の側でも注意が必要です。登録支援機関に書類作成を実質的に委託し、その対価を支援委託費の中に含めていた場合、受入れ企業が違反行為の実質的な「依頼者」として問題視されるリスクも皆無とは言えません。

総務省の公式ページでは、違反した場合の罰則について次のように明記されています。「その行為者に1年以下の拘禁刑又は100万円以下の罰金が科されるとともに、その法人又は人に対しても100万円の罰金が科されます。」

出典:総務省「行政書士制度」業務の制限・両罰規定の項目
https://www.soumu.go.jp/main_sosiki/jichi_gyousei/gyouseishoshi/index.html
出典:行政書士法 第21条の2、第23条の3(令和7年法律第65号による改正後)


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6. 東京都の受入れ企業が今すぐ確認すべき4つのポイント
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改正法が施行されている現在、受入れ機関(事業者)として委託先の業務実態を見直すための確認事項を整理します。

6-1. 委託契約書の内容を確認する

登録支援機関との委託契約書に、業務範囲として「在留資格申請書類の作成」「申請書の作成補助」「ビザ手続きのサポート」などの文言が含まれていませんか。これらが含まれ、かつその対価が委託費に含まれている場合、行政書士法上の問題が生じる可能性があります。

書類作成に関する記載がある場合は、委託先に行政書士が在籍しているかどうか、または提携する行政書士事務所が書類作成を担っているかどうかを確認し、契約内容を整理することを検討してください。

6-2. 費用の内訳を確認する

月額の支援委託費が、10項目の支援業務の対価のみを意味しているかどうかを確認します。「書類作成費用」「申請手数料」「ビザ費用」が含まれている場合は、その部分が行政書士業務の対価である可能性があり、委託先が行政書士資格を持たない場合は問題となります。

6-3. 書類作成の担当者を確認する

実際に在留資格の申請書類を作成しているのが誰かを確認します。登録支援機関のスタッフが書類を作成し、受入れ企業に完成書類として届けられている場合、そのスタッフが行政書士資格を有していない限り、改正法第19条第1項に抵触する可能性があります。

6-4. 定期報告の実施状況を確認する

登録支援機関に支援計画の全部を委託している場合、四半期ごとの定期面談と地方出入国在留管理局への報告が適切に行われているかを確認します。この報告義務を怠ると、受入れ機関の基準を満たしていないとみなされるリスクがあります。

出典:出入国管理及び難民認定法 第19条の22(登録支援機関の義務)
出典:入管法施行規則 第17条の7


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7. まとめ 「支援」と「書類作成」の境界線が令和8年以降の安全策
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今回の改正を一言でまとめると、「名目を変えれば書類作成への報酬を受け取れる」という慣行に対して、条文が正面から「いかなる名目によるかを問わず」と明記し、グレーゾーンを封じたということです。

登録支援機関に委託できる業務は、入管法施行規則が定める10項目の生活支援に限られます。在留資格申請書類の作成は、報酬を得て業として行う場合には行政書士または弁護士に限られます。

東京都小平市をはじめ東京都全域で特定技能の受け入れを行う事業者の方にとって、この「支援」と「法的書類作成」の役割分担を明確にすることが、令和8年以降の外国人雇用において法令リスクを回避する最も確実な方法です。

委託先登録支援機関との契約内容の見直しや、書類作成業務の適法な依頼先の確認をご検討の方は、開業後にお気軽にお問い合わせください。

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■ 参照法令・一次情報一覧
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1. 行政書士法 第1条の3、第19条第1項、第21条の2、第23条の3(令和7年法律第65号による改正後)
   e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/326AC1000000004

2. 総務省「総行行第281号 行政書士法の一部を改正する法律の公布について(通知)」令和7年6月13日
   https://www.soumu.go.jp/main_content/001014708.pdf

3. 総務省「行政書士制度」(業務の制限・両罰規定の説明)
   https://www.soumu.go.jp/main_sosiki/jichi_gyousei/gyouseishoshi/index.html

4. 日本行政書士会連合会「行政書士法の一部を改正する法律の成立について」(令和7年6月6日 会長談話)
   https://www.gyosei.or.jp/news/20250606

5. 日本行政書士会連合会「行政書士法第19条第1項及び第23条の3の改正の趣旨等について」(令和7年11月)
   https://www.gyosei.or.jp/news/20251101

6. 出入国管理及び難民認定法 第19条の20、第19条の22、第19条の24
   e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp

7. 出入国管理及び難民認定法施行規則 第6条の2(申請取次)、第17条の7(支援の内容)
   e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp

8. 出入国在留管理庁「1号特定技能外国人支援・登録支援機関について」
   https://www.moj.go.jp/isa/policies/ssw/supportssw.html

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この記事を書いた人

行政書士開業準備中 R8夏頃を予定しています。
現在は人材派遣会社で、派遣コーディネーター、人材紹介、新規営業などの業務を行っています。

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